独立して会社を作ろう!…
そう思ったときに、個人事業主か会社設立か…と迷う人が殆どだと思います。
でも、友人や先輩に相談すると大抵の人は、「それって本当に会社を作る意味あるのかな?」とか「個人事業主でも良いのでは?」とアドバイスをしてくると思います。
「自分の思いを実現させるためにすぐに会社を作るか?」
「まずは個人事業主で始めるか?」
そんな悩みを持っている方に向けて、
・直接の上場経験2回
・間接の上場経験複数回
・会社設立や組織変更を自ら行った経験複数回(たぶん10回以上)
の経験をもつ私が、会社を作ろうと思った時に考えること書いています。
会社設立のメリットとデメリット、会社を設立する場合の最低限の手順をまとめた記事です。
ここに書いてあることは、あくまで参考としてご覧ください。
税金や会社登記やそれらに関わる手続きについては、必ずご自身で然るべきところに確認するようにお願いします。
会社設立と個人事業主の違い
法人(会社設立)と個人事業主の違いは大きく3つあります。
- 事業規模が小さいと個人事業主の方が税務面で有利
- 社会的信用は法人の方が有利(今後、変わる可能性あり)
- 法人の場合、個人とは別人格になるのですべてを別々に運用できる
実は、一言で言ってしまうと法人と個人は人格が違うために適用される法律や制度が違うものとなり、究極は「人格の違いにより生じる税金の違い」です。
個人事業主と法人に適用される税金には種類の違うものもあり、同一項目として単純に比較できません。
しかし、個人事業主と法人の所得に対する税金の割合を総合的にみると、所得が大きくなれば法人の方が有利です。
また、今のところ、社会の仕組みを考えると個人よりも法人の方が信用があります。
事業を行う場合、商取引をします。
商取引には、
・お金に関わる信用
・商品に関わる信用
・サービスに関わる信用
等々があります。
これらの「信用」は現在の社会通念上において、個人よりも法人の方が有利です。
特に「お金に関わる信用」は大きいと思います。
詳しくは後述します。
しかし、実際にこの悩みを持つ人は
「これから事業を始めようとしている人」であり「事業の成長を夢見ている人」
ですよね。
売上を伸ばしていくと税金以外にどんな違いがあるのかも知りたいはずです。
特に3つ目の言い方をしているサイトは少ないと思います。
法人(会社設立)と個人事業主の違い記事を書く人は税理士などの士業をなさっている方が多いために、どうしても切り口が節税的な論調になっていると思います。
以下、 具体期に説明していきます。
会社を設立を検討するポイント
会社設立を検討した方が良い人は次の様な考えを持っている方です。
- 課税対象所得を年間約400万円以上稼ぎ続けるつもりである。
- 二人以上で事業を始める。
- 事業を売却する可能性がある。
世の中には税金や信用などの面から法人設立を説く人が多いですが、
「なぜ会社を作るのか?」というのがそもそもの判断基準です。
なぜ、課税対象所得を年間約400万円以上稼ぎ続けるつもりなら法人の方がよい理由
単純に税金の話です。
法人は「事業活動のために設立される」という前提があります。
従って、個人との区別を明確にしやすく、節税の幅が増えます。
分かりやすい目安では、課税対象所得が400万円ぐらいで法人が有利になるのです。
この数字は目安でしかありません。
節税次第で変わります。
家族が従業員である場合、家族を合わせて所得を考えると変わります。
経費として計上できる対象に違いもある為あくまで目安です。
損金の繰り越し期限などにも違いがある為、切り口によって異なります。
会社設立をするメリット
社会的信用が上がる
法人は、基本的な情報が全て公開されます。
個人でいうところの「マイナンバー」でさえも「会社法人番号」として登記簿謄本に記載されます。
これは誰でも見ることができます。
従って、どこの誰が、資本金幾らで、どういう会社を経営して、売上と利益と借入と資産と負債がいくらなのか、一目瞭然となります。
だから、社会的信用が上がります。
記載される主な情報は以下となります。
・会社法人番号
・商号
・本店所在地
・会社設立日
・(会社の)目的
・発行可能株数
・発行済み株数とその種類
・資本金
・株式の譲渡制限に関する規定
・役員
・代表取締役の住所
・その他履歴事項
また、決算情報については公示義務があります。
官報に報告しているところが多いです。
広告効果も狙っているところは日刊新聞に掲載します。
最近はWEB上に掲載するところもあります。
これらは誰でも見ることができますね。
金融機関などが貸し付けをする際には、税理士などの専門家がまとめた決算報告書をみることで、すべての資産状況やお金の使い方が分かります。
個人の場合、その様な情報が無いので、貸す方も躊躇があります。
一定の規模以上の会社が個人と取引をしない場合がありますが、それは上記の様な信用面を気にしているからです。
ただし、これからの時代は信用が個人にも移っていくと言われています。
今後は変わっていくかもしれません。
節税の幅が広がる
個人事業主は個人と事業のお財布が一緒ですが、法人と個人は事業のお財布が別です。
このためにかかる税金に差があります。
経費として認められる項目にも差があります。
このために法人化すると「個人事業主→法人+個人」分解されます。
その結果、以下の様な「節税のメリット」が発生します。
所得にかかる税率は法人の方が低い
中小法人の実効税率(標準課税ベースで小数点2位以下四捨五入 )と 個人所得に課税される税率を示します。
中小法人の実効税率
事業開始年度 | 課税所得金額 400万円以下 | 課税所得金額 400万円超 800万円以下 | 課税所得金額 800万円超 |
2019年4月1日~2021年3月31日 軽減税率の特例措置有として | 21.42% | 23.20% | 33.59% |
個人所得の税率
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
※参考:国税庁所得税の税率[平成31年(2019年)4月1日現在法令等]
給与所得控除が使える
給与所得控除とは、給与所得者の給与から一定額差し引くことのできる控除額のことです。
個人事業主で言うところの必要経費に相当する役割を持っています。
給与所得控除額は給与によって変化し、収入が多いほど控除率は下がります。
※給与所得控除額については国税庁「No.1410 給与所得控除」を参考ください。
経費の幅が増える
社宅、社用車、出張日当、退職金、生命保険料や小規模共済等の掛金、等々。
法人の方が経費として認められる幅が増えます。
欠損金を10年繰り越しできる
法人であれば10年は欠損金を繰り越しできます。
10年間での損得で利益計算をできるということです。
個人事業主の場合は3年です。
※参考:国税庁「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」「No.2070 青色申告制度」
家族への給与
法人の場合、家族が実際の事業に従事していれば、労働対価として家族に給与を支払うことができます。
個人事業主の場合は青色事業専従給与者として税務署へ事前の届出が必要ですが法人にはありません。
届出という手間を掛けずに 家族として所得の分散ができます。
所得税や住民税の節税につながります。
消費税免税期間
これは法人の方がメリットがあるということでありません。
個人事業主と法人に認められた免税期間を両方組み合わせて使うと結果としてメリットがあるという話です。
どちらも特定の条件を満たせば事業開始(設立)から2年間の消費税免税があります。
個人事業主として創業後2年後に法人を設立して事業を続けると最長で4年間になります。
※参考:国税庁「No.6501 納税義務の免除」
資金調達が楽になる場合がある
これは「社会的信用が上がる」で書いた金融機関に対する部分を切り出した話です。
個人事業主の場合は家計と事業が同一人格で行われるために、その区別がはっきりしません。
一方、法人は別人格であり、区別がはっきりしているために、決算書を見れば、すべての資産状況やお金の使い方が分かります。
金融機関などが貸し付けをする際に判断をしやすくなります。
また、法人の場合は融資以外の資金調達方法(補助金など)も条件を満たせば可能になります。
有限責任で事業活動をすることができる
法人は有限責任です。
個人保証による借入以外は出資金の範囲内で責任を問われます。
個人事業は無限責任です。
仕入れ先や業務委託先への未払い金や金融機関からの借入金、滞納している税金などは同一人格である個人の負債となります。
責任が無限の為に、債務は一生引き受けなければなりませんし相続もなされます。
最終手段として、仮に自己破産しても、滞納している税金は免除になりません。
決算対策がしやすくなる
個人事業主の場合は1月から12月の一年間を基準にして税金が計算されます。
つまり12月決算です。
これを変えることはできません。
法人の場合は設立時に決算期を自由に決めることができます。
これにより、繁忙期と決算期をずらすことで落ち着いて決算を纏めることができます。
また、利益が最も出る時期と決算期をずらすことで、利益の予測がついてから決算対策を講じることもできます。
後継者への事業承継をしやすい
個人事業主の場合、事業を行っている人格と本人人格が同一です。
従って、事業主がし死亡すると個人名義の銀行口座は一時凍結され、事業に使うお金の移動や支払いができなくなります。
もちろん、個人名義の口座ですので本人死亡後は事業を引き継いだ人の名義で作り直しの必要があります。
法人は別人格ですので、代表者が死亡しても法人口座の一時凍結はなく、資金は自由に移動したり支払いを行ったりできます。
事業が止まることはありません。
事業の売却をしやすい場合が多い
法人で行っている事業を丸ごと売却するときは、会社の株式を全て第三者に譲渡することで可能です。
決算書があるために法人の価値が明確になります。
個人事業主として事業の売却を考えるときは、個人と事業が同一人格であるために、譲渡する事業の価値を個人とは別に見極めるところから始まります。
会社の売却「株式譲渡」の場合は消費税がかかりません。
「事業譲渡」の場合は消費税がかかります。
利益を被るのが法人か、個人かによっても支払うべき税金に違いがあります。
会社設立をするデメリット
会社の設立にお金と手間がかかる
会社を設立するには、
・定款を作る。
・登記申請を行う。
・銀行口座を開設して資本金を払込む。
という手順が発生します。
登記には最低でも約20万円かかります。
資本金を大きくすると、その分用意する金額も大きくなります。
会社の運営にお金と手間がかかる
個人事業主で事業所得が0円の場合、所得税も住民税もかかりません 。
しかし法人の場合は赤字の場合でも数万円の法人住民税均等割りを支払う必要があります。
金額は都道府県によって異なります。
また、 法人は厳密な会計ルールに従って会計処理をしなければなりません。
税務申告は個人の申告と異なって複雑です。
その為、税理士や公認会計士の専門家に依頼することになるでしょう。
当然そこには費用が発生します。
税理士や公認会計士の費用は会社の規模に仕事量が比例するのが普通です。
その分、費用は高くなります。
法人であるが故の事務手続きが発生する
法人には、法律で定められた手続きがあります。
・株主総会の開催
・議事録の作成
・登記事項の変更
…等々。
個人事業主には無いことです。
交際費に上限がある
個人事業主は交際費に上限の定めはありません。
法人は損金算入できる金額に年間800万円の上限があります。
事業所得が少ない場合は個人と法人の区別が明確となる事で不利がある
個人と法人の区別が明確になると、日常生活と事業の区別が明確になります。
個人事業主であれば、事業の為に美容院に行って身だしなみを整えた場合の費用を経費にできる場合があります。
法人の場合はそうはいきません。
役員報酬(給料)は一年間変更できない
減らすことも増やすことも基本的にできません。
これは役員報酬を増額または減額した場合に、その分を損金(経費)算入できないということです。
変更しても、それに応じて税金を払えば問題ありません。
従業員を雇用した場合に社会保険料を支払わなくてはならない
個人事業主として専従者を持つ場合には労働保険も社会保険も不要です。
しかし、会社として従業員を雇用した場合はそういった保険料を支払わなくてはなりません。
会社設立するなら知っておきたい株式会社と合同会社の違い
株式会社とは
株式会社とは、元々は多くの出資者を集めるために考案された仕組みです。
会社の設立当初から大きな資金の調達が不可欠な事業内容であれば、それに見合った大きな資本が必要だからです。
出資者は有限責任ですので、会社が倒産しても出資した範囲内を上限として責任を負います。
つまり出資したお金は返ってきませんが、それ以上の支払い義務も発生しません。
内部機関として
・株主総会
・取締役会
・監査役
の設置が必須でした。
現在は法改正により、株式譲渡制限のある法人であれば「取締役会」と「監査役」の設置は任意です。
基本的に実際の経営を行うのは(代表)取締役です。
出資者と経営者が分かれており、経営者は出資者の為に経営をします。
出資者と経営者が同一人物であることもできます。
利益配当は所有する株の数に応じて分配されます。
組織変更をせずとも上場できます。
合同会社とは
合同会社とは、新会社法で認められた、海外ではLLCと呼ばれる法人形態です。
合同会社は会社設立当初に資金調達は不要であるが、人の能力や技術を持ち寄って作る組織に向いています。
出資金があって設立できるのは株式会社と同じです。
出資者は有限責任であり、これも株式会社と同じです。
基本的に合同会社の経営方法は法律によって強制されることはありません。
内部機関に定めは無く
・意思決定の方式
・業務執行を行う者の裁量範囲の制定
・利益配分
等々のルールは定款により自由に定めることができます。
よって、合同会社では株式会社よりも柔軟な会社経営が可能となります。
「出資者=経営者=社員」
という基本仕組みの為、合同会社の社員(出資者)全員が、会社の代表権と業務執行権をもちます。
それぞれの社員が、株式会社でいう「代表取締役」のような立場にあります。
しかし、これでは各社員自らが顧客と会社の契約を締結することが可能です。
その結果、混乱する場合があります。
そこで、株式会社の様な組織運営をするために、定款の定めによって代表社員(株式会社でいう代表取締役の立場)や業務執行社員(株式会社でいう取締役の立場)を定めることもできます。
株主総会の位置づけとして社員総会を定めることもできますが、このような内部機関の設置は株式会社のように法律で義務付けられていません。
利益配当は出資額に依らず、定款に定めることによって自由に配分を決めることができます。
定款に定めのない場合はその割合を各社員の出資価額に応じることとなります。
利益と損失の分配を別々に定めることもできます。
利益の配当とその時期、回数、配当する財産の種類などを総社員の同意により自由に定めることができます。
定款に特段の定めがない限り、社員はいつでも利益の配当を請求できます。
それに応じた場合、会社は資金繰りに苦しむ場合があります。
従って、合同会社では定款自治が非常に重要になります。
合同会社のままでは上場できません。
株式会社に組織変更をすれば良いのですが、その規模になると社員全員との調整が難しくなるかもしれません。
社員全員の同意と債権者保護手続を行う必要がある為です。
会社を作る為の手順・必要なもの・費用
株式会社の場合
株式会社を作る場合、最も楽なのは司法書士や会社設立の代行会社に依頼することです。
もちろん、自分で手続きをすることもできます。
その為に必要なことを以下に纏めました。
必要なもの
ここでは必要なもの、決めておくべきことをリスト化します。商号(会社名)
設立したい市区町村に同じ社名があると登記できません。登記地を変えるか、社名を変えましょう。
事業目的
どのような事業をするのかを項目程度でかまわないので明文化しておきます。
例えば、
・マーケティング事業
・学習塾
・WEB製作
等々です。
基本的に、定款に定めの無い事業を営むことはできません。
やる可能性のある事業は全て書いておくのが良いです。
本店所在地
定款に定め、それを登記することになります。
自宅でも、新しいオフィスでも、コワーキングスペースでも、友人のオフィスを間借りするなど、いくつか選択肢はあると思います。
資本金
半年から一年間の運転資金を用意するのが一般的です。
資本金自体は1円からでも大丈夫です。
しかし、会社の信用にも関わるので、意味なく1円というのは個人的にはお勧めしません。
株主構成
発起人は住所と氏名を定款に記載します。
資本金を誰がいくら出しているのかを記録に残します。
機関設計
一人で出資して本人が社長をする場合は気にしなくて良いです。
複数の人間が関わる場合には取締役会を設置したり、監査役を置いたり、株主総会での決定事項を追加するなどの機関設計が必要です。
組織が大きくなり、株主が多くなると、必要性が増してきます。
事業年度
事業を始めるタイミングに合わせて事業年度を決めるのが普通です。
最初の免税期間を少しでも長くとれるようにする人が多いようです。
事業年度末には決算を行います。
税理士や会計士が多忙な時期(世間的に決算が重なる時期)を避けると、落ち着ついて決算のアドバイスをもらえたりします。
会社の印鑑
登記書類作成に必要です。
最低限として、代表印が一つあれば良いです。
できれば、
・会社印
・代表印
・銀行印
・会社の名前と代表者と住所のゴム印
を用意すると良いです。
印鑑証明書
設立時に作成する書類と合わせて、会社設立の発起人それぞれの記名と押印と印鑑証明が必要です。
設立登記申請と定款認証の際に、会社の印鑑証明が合計2通必要です。
費用
株式会社の設立には、資本金に加えて、以下の費用が掛かります。
印鑑証明書などの細かい費用は書いていません。
- 定款用収入印紙代:4万円
- 公証人認証手数料:5万円
- 定款の謄本(写し)手数料:1ページ当たり250円、通常は10ページもないので2000円ぐらい。
- 登録免許税:資本金額の0.7%、それが15万円に満たない場合は15万円が登録免許税となる。
合計:約24万2千円
手順
株式会社設立手続きの大まかな流れを説明します。
昔は役所も不親切だったのですが、最近は忙しくなければ丁寧に教えてくれます。
必要な書類を準備して、窓口に行き、手順が分からなければ窓口で質問すると良いでしょう。
設立の流れ
- 事前の準備
設立項目の決定(上記「必要なもの」参照)
印鑑作成 - 定款の作成と認証手続き
- 登記書類の作成(※注)
資本金の払込とその通帳のコピーと払込証明書の作成。
各種申請書作成 - 会社設立登記
設立登記の申請
登記簿謄本の取得 - 銀行口座の開設と開業の届出
銀行口座を開設して税務署に開業届を提出
※注
・この段階では会社はまだ存在していないので発起人の個人名義の銀行口座を使用することになります。
・資本金の振込日は、定款が認証された同日以降にします。
・入金した発起人の名前と出資額が通帳に印字されるように振込します
・発起人が一人の場合は預入でも振込でもOK
・必ず発起人の名前で払込をしてください。入金した合計金額と資本金の額は「一致」しなければなりません。資本金を超える額を入金した場合はその金額を「資本準備金」とする必要があります。
合同会社の場合
合同会社の設立は株式会社のそれとほとんど変わりません。違いは2つです。
設立手続きの違い
- 定款認証の必要がない。
- 設立費用が安い。
必要なもの
必要なもの、決めておくべきことは株式会社の場合とほとんど同じです。
違うのはイタリックの部分だけです。
商号(会社名)
設立したい市区町村に同じ社名があると登記できません。
登記地を変えるか、社名を変えましょう。
事業目的
どのような事業をするのかを項目程度でかまわないので明文化しておきます。
例えば、
・マーケティング事業
・学習塾
・WEB製作
等々です。
基本的に、定款に定めの無い事業を営むことはできません。
やる可能性のある事業は全て書いておくのが良いです。
本店所在地
定款に定め、それを登記することになります。
自宅でも、新しいオフィスでも、コワーキングスペースでも、友人のオフィスを間借りするなど、いくつか選択肢はあると思います。
資本金
半年から一年間の運転資金を用意するのが一般的です。
資本金自体は1円からでも大丈夫です。
しかし、資本金は会社の信用にも関わるので、意味なく1円というのは個人的にはお勧めしません。
出資者構成
出資金を誰がいくら出しているのかを記録します。
機関設計
一人で出資して本人が社長をする場合は気にしなくて良いです。
複数の人間が関わる場合には
・代表社員を決める
・執行社員を決める
・社員総会の位置づけを決める
等々、機関設計をしておくのがよいでしょう。
合同会社には定款認証の必要はありませんが、定款は作成します。
事業年度
事業を始めるタイミングに合わせて事業年度を決めるのが普通です。
免税期間を少しでも長くとれるようにする人が多いようです。
事業年度末には決算を行います。
税理士や会計士が多忙な時期(世間的に決算が重なる時期)を避けると、落ち着ついてアドバイスをもらえたりします。
会社の印鑑
登記の為の書類作成に必要です。
最低限として、代表印が一つあれば良いです。
できれば、
・会社印
・代表印
・銀行印
・会社の名前と代表者と住所のゴム印
を用意すると良いです。
印鑑証明書
設立時に作成する書類と合わせて、会社設立の発起人それぞれの記名と押印と印鑑証明が必要です。
設立登記申請の際に、会社の印鑑証明が1通が必要です。
費用
合同会社の設立には、資本金に加えて以下の費用が掛かります。
印鑑証明書などの細かい費用は書いていません。
- 定款用収入印紙代:4万円
- 定款の謄本(写し)手数料:1ページ当たり250円、通常は10ページもないので2000円ぐらい。
- 登録免許税:資本金額の0.7%、それが6万円に満たない場合は6万円が登録免許税となる。
合計:約10万2千円
手順
合同会社設立手続きの大まかな流れを説明します。
株式会社と違うのは、
・定款認証が不要
・余計に振込んだ出資金の扱い
です。
設立の流れ
- 事前の準備
設立項目の決定(上記「必要なもの」参照)
印鑑作成 - 定款の作成(定款認証は不要)
- 登記書類の作成(※注)
出資金の払込とその通帳のコピーと払込証明書の作成。
各種申請書作成 - 会社設立登記
設立登記の申請
登記簿謄本の取得 - 銀行口座の開設と開業の届出
銀行口座を開設して税務署に開業届を提出
※注
・この段階では会社はまだ存在していないので発起人の個人名義の銀行口座を使用することになります。
・資本金の振込日は、定款が認証された同日以降にします。
・入金した発起人の名前と出資額が通帳に印字されるように振込します
・発起人が一人の場合は預入でも振込でもOK
・必ず発起人の名前で払込をしてください。入金した合計金額と出資金の額は「一致」しなければなりません。出資金を超える額を入金した場合はその金額を「資本剰余金」とする必要があります。 合同会社には資本準備金と利益準備金がないためです。
結局、株式会社と合同会社どちらが良いのか
有限責任を負う会社は株式会社と合同会社だけです。
その他の法人は無限責任となります。
従って、会社を設立するときは株式会社か合同会社のどちらかを選択します。
そうすると「株式会社と合同会社のどちらが良いのか?」となりますよね。
ここは、視点によって全く違います。
運営コストと手間がかからないのは合同会社
合同会社は設立費用が株式会社よりも安く、決算公告の義務はありません。
また役員の任期を設ける必要がないので、役員の任期が終了するたびに発生する重任の登記費用がかかりません。
但し、定款の定めで役員に任期を設けた場合は重任の登記を必要とします。
定款の定めに関わらず、代表や役員が変わった時には変更に伴う登記申請が必要となり、費用が発生します。
最初にまたは、行く行く大きな資本を集める必要がある事業に取り組むなら株式会社
合同会社は出資価額に依らず配当を決められるので、出資者が増える度に配当に関わる事項の調整が必要になります。
これには出資者である社員の合意も必要となりますし、出資者は経営者にもなるので、更にややこしくなります。
その点、株式会社は出資額がそのまま配当割合となり、出資=経営者とはなりません。
上場を目指すなら株式会社が良いです。
個人または2~3人の能力で稼ぎまくる、大きな資本はいらないということであれば合同会社
初期投資はほとんどいらない。
その後も資本先行的な事業はやらない。
「必要な武器は限られた仲間と自分の能力」ということであれば、合同会社が良いでしょう。
会社として正規雇用はせず、外注としてフリーランスの方に仕事をお願いすることができれば、仕事の規模を大きくすることもできます。
信用のある方が良ければ株式会社(いまのところ)
現在の社会的信用は株式会社の方が上と言えます。
但し、それはこれまでの社会習慣により醸成された考え方です。
今後は変わっていくかもしれません。
合同会社は、
・決算広告義務がない
・定款認証が無い
等々、の理由で信用度を低くみられることもあります。
しかし、Amazon Japan、Apple Japan、Google Japan、などは合同会社です。
そう考えると、信用度というのは今後代わっていくことが考えられます。
会社を作ることについてのまとめ
会社を作るときは、自分が何をしたいのかをよくよく考えるべきです。
節税も経費も給料も、稼いで始めて使えます。
最も大切なことは稼ぐことです。
稼ぐ為に合同会社にするのか、株式会社にするのか、そこから考える方が良いと思います。
稼ぐ自信がないけど法人格が欲しいというだけであれば株式会社を選択する理由がありません。
手間と費用が安くてすむ合同会社でいいと思います。
会社を作るということは、事業投資をするということです。
お金だけではなく時間も投資するとになります。
つまり、
「作った会社を上手くいかせる=売り上げを伸ばして利益を伸ばす=投資に成功する」
ということです。
投資を上手にするためには順序があります。
スキルや知識を付けるための勉強も投資ですし、金融商品を買うことも投資です。
このページの閲覧が増えてきたら、投資の順番を書きたいと思います。
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